塗装とフィルム貼りの違い
自動車のデザインを変更する方法には、塗料を使用して文字やイラストを描く従来の方法・塗装と、イラストや写真が印刷されたフィルムを車に貼るだけで簡単にデザインが一新できると話題の方法・車両ラッピングがあります。
街中で走行している車両をパッと見ただけでは、塗装されているのかフィルムを貼ってあるものかの判断がつきにくいかもしれません。しかし両者には「施工後に元の状態に戻せるか・戻せないか」「デザインの自由度・再現率の高さ」「耐久年数」「施工料金」等、さまざまな違いがあります。今回は、自動車のデザイン変更を検討している方に向けて、塗装と車両ラッピングの違いを5つの観点から徹底比較しています。
1.最大の違いは施工後「施工前の状態に戻せるか・戻せないか」
塗装と車両ラッピングの最大の違いは、施工後に「施工前の状態に戻せるか・戻せないか」という点です。塗装は、車体に直接塗料を使用するため、一度施工すれば元の状態に戻すことはできません。一方車両ラッピングは、イラストや写真が印刷されたフィルムを貼り付けるだけなので、フィルムを剥がせば施工前の状態へと簡単に戻すことができるのです。
塗装の有無で売却時の査定額に88万円の差が!塗装された車は、売却時の査定額が大幅に下がるというデメリットがあります。しかし、ラッピングであれば上記の通りフィルムを剥がせば従来の状態へと戻せるうえ、フィルムを貼り付けていることで日焼けや飛び石から車体を保護する役割も同時に果たしてくれるので、査定額への影響を心配する必要はありません。とある業者の調査によれば、同じモデルの車でも塗装された車とそうでない車には査定額に88万円の差が出たというデータもあります。将来的に車を手放すかもしれないという方は、塗装ではなく車両ラッピングを選んでおくのが賢明かもしれません。
2.デザインの自由度や再現率の高さは車両ラッピングが勝る
塗装は、細かな模様を描くことやメタリックカラー等の質感を表現することが難しいと言われています。そのため、仕上がりにムラができたり、思っていたようなデザインにならなかったりということも…。手描きなので、職人の経験や技術量によっても仕上がりが大きく左右されてしまいます。一方車両ラッピングなら、コンピューターを使用して好きなイラストや写真フィルムに印刷して車体に貼り付けるため、色ムラができることもなく、手描きよりも忠実にデザインを再現することができます。
塗装では難しかったメタリックカラーはもちろんのこと、マットカラーやクロームメッキカラーなど、好みによって自由な質感やカラーバリエーションを取り入れることができるので、より自由なデザインを楽しむことも可能です。また、事前のシミュレーションで完成時のイメージを見ることもできるので、仕上がりとのギャップを抑えることもできますよ。
3.塗装の耐久年数は約10年・車両ラッピングは~約7年
塗装は、きちんとした手順を踏んで施工を行って適切に手入れをすれば、10年は保つことができると言われています。一方、車両ラッピングの平均耐久年数は7年程度と、塗装と比較して短くなっています。もちろん、業者や車種、デザインや使用したフィルムの品質、車の使用状況によっても異なりますが、耐久性は塗装のほうが勝るといえるでしょう。
4.車両ラッピングは塗装よりも料金が高額になる傾向
一般的な業者に塗装(全塗装)を依頼した場合、料金は軽自動車で平均10万円前後といわれています。一方車両ラッピングは、ボンネットのみ・ルーフのみといったパーツラッピングでも4万円前後、車両全体にフィルムを貼り付けるフルラッピングでは車種の面積によって料金は異なるが、30万円~70万円前後といわれています。こちらも業者や車種、デザインによっても異なる部分ではありますが、一般的にラッピングは塗装と比較して高額な傾向にあります。
5.施工にかかる期間は塗装が2~3週間、車両ラッピングは1日前後
全塗装の場合、もとの塗装の剥離や下地処理、塗装、乾燥…と、多くの施工手順を踏む必要があり、完成までは1台あたり2週間~3週間前後かかるといわれています。しかし、車両ラッピングはフルラッピングでも約1日前後で完成することがほとんど。フィルムを車体に貼り付けるだけなので、塗装に必要な下地処理や手間を大幅にカットし、短い期間でデザインを変えることができるのです。
まとめ
広告手段や個人の趣味、移動販売車などとしても人気が高まっている車両ラッピング!ここでは塗装と車両ラッピングの5つの違いを比較しました。これまでは比較的認知度が低かった車両ラッピングですが、現在では個人だけではなく企業が営業車やバス、トラックなどにラッピングを施して自社や店舗の広告塔にするなど
国内でも浸透しつつある手法として注目されています。自動車のデザイン変更を検討されている方は、従来の塗装に加え、ぜひ車両ラッピングも選択肢の1つに加えてみてはどうでしょうか。